AI(人工知能)とは?

経済紙である日経新聞では、 どこの企業がAIを導入したとか、機械学習用にデータを持つ企業を買収したとか、AIに関する記事が毎日のように紙面を埋めています。

AI(人工知能)について、 一番目立つ誤解は、「AIは何でも出来る」といったポジティブな誤解ですが、
二番目に目立つ誤解は、 「AIは何でも出来るみたいに言われているけど、限定的な作業しか出来ないし人間を超えることなんて有りえない」といったネガティブな誤解です。

AI(人工知能)は、AIブームと騒がれた以降も常に技術開発が進んでいる分野です。
その為、識者や専門家と呼ばれる肩書が付いている人であっても、AIについて正しく抑えられているとは限りません。

AI(人工知能)の活用範囲は全ての産業に有ります。
AIの持っている可能性を正しく理解する為に、AIについて専門用語を使わずに解りやすく解説します。

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AI(人工知能)とプログラムの違い

プログラムもAI(人工知能)もコンピューターで動作するものですが、 「プログラム」というと、一般的に、下記のイメージを持つ人が多いのではないでしょうか。

プログラムのメリット プログラムのデメリット
定型的な作業が出来る。 非定型な作業が出来ない。
ミスが無い。 例外に対応できない。
仕事が早い。 新しい作業が出来ない。

「機械的」という言葉が示すように、プログラムは、プログラミングされた通りの動作しかできず融通がききません。
人をサポートすることは出来ても、人の代わりには到底成りえないものでした。

AI(人工知能)は、プログラムと全く異なる設計思想で作られています。
構造については後述しますが、AIによって、従来のプログラムの弱点をカバーすることができます。

プログラムのデメリット AIが出来ること
非定型な作業が出来ない。 右矢印 個々の状況に応じて対応できる。
例外に対応できない。 右矢印 未知のものであっても対応できる。
新しい作業が出来ない。 右矢印 習熟していく

そして、プログラムとAIを併せて使うことで、活用の場が大きく広がります。

AI(人工知能)の用語解説

AIと人工知能の違い

AIは、Artificial Intelligenceの頭文字を取ったものです。
日本語では、直訳して「人工知能」と読んでいます。
つまり、AIと人工知能は同じ意味です。

AIと機械学習の違い

AIを学習させる為の方法や過程を総称して「機械学習」と呼びます。
AIの学習は人間の勉強とは全く異なる方法です。賢くなる(精度をあげる)為に機械学習を行う必要が有ります。

機械学習は様々な方法があります。
機械学習

AIとディープラーニング

ディープラーニングは、数多有る機械学習の手法のうちのひとつです。
AIとディープラーニングは同義ではありませんが、AIの革命的な進化はディープラーニングに支えられています。

ディープラーニングは、脳の「認識」のメカニズムに着目したニューラルネットワークの理論を用いた機械学習の方法です。 直訳すると「多層学習」という意味になります。
詳しい説明は省きますが、ディープ(多層)にしなければ機械学習は出来ません。

AI(人工知能)の2つの分類 「特化AI」と「汎用AI」

特化AI
特定の作業だけを担えるAIです。別名Narrow(狭い)AIと呼ばれます。
システムとして導入を検討するAIというと、この特化AIのことを指しています。
複数の特化AIを組み合わせることで、AIに任せられる業務の範囲が広がります。

汎用AI(AGI)
特化AIと比較して「強いAI」に分類されるAIです。
コンピューター上での人間の知能の完全な再現を目指した研究であり、まだ、未達の分野です。
シンギュラリティは、この完成をもってゴールになると思います。

AIとIoTの関係

AIが頭脳(脳)だとすると、IoTは情報を収集する為の目や耳です。
第4次産業革命の主要ツールとして、AIとIoTは、並列に語られることがありますが、役割が異なります。
AIとIoTは、どちらかではなく、併用して使用することで導入効果が増大します。

AIはどのようにして進化したのか?

AIの歴史

1950年代 第一次人工知能ブーム
ダートマス大学でAI研究がスタート。

この時代のAIは、単純なプログラムのような動きしか出来ません。
与えられた世界の中でしか情報を処理ない「フレーム問題」の概念に突き当たり最初のAIブームは終わっています。

1980年代 第二次人工知能ブーム
推論から結果を導き出す仮想的な知能のようなものが考えられましたが、膨大なデータ量の入力が必要であった為、完成には至りませんでした。

この頃、日本では人気RPGゲームのドラクエ4にAIが搭載されましたが、このAIはプログラム的な処理で成り立っています。

2005年 「シンギュラリティ」
現在、Googleに在籍している科学者のレイ・カーツワイルは、2005年に発売した自身の著書 「The Singularity Is Near:When Humans Transcend Biology」で、 人工知能が人類を超えると言われる技術的特異点(シンギュラリティ)が2045年に起こると予測しています。

しかし、この書籍が置かれた棚はSFでした。

2012年
成果が上がらなかった過去2回の失敗を経て、AIは2012年に大きく発展しました。
そのもっとも大きな貢献がディープラーニングです。

カナダのトロント大学の認知心理学者のジェフリー・ヒントンは ニューラルネットワークを多層化したディープラーニングの技術を使い、画像認識コンテストで優勝しました。
また、同時期に、Googleのシステム「ニューラルネット」がYoutubeに投稿された動画で自動学習を繰り返し、特定の被写体を認識できるようになりました。

2016年
GoogleがFacebookとの買収合戦に勝って傘下に収めたDeepMind社が作ったAI「AlphaGo」が、囲碁で世界チャンピオンに勝利しました。

「AlphaGo」は、この後も開発が続けられ連勝記録を伸ばすとともに、たった3日の自己学習で「AlphaGo」のレベルに達する「AlphaGo Zero」が2017年に完成しています。

第三次AI(人工知能)ブームは何が違うのか?

昔のAIは、AI開発者がパターンを全て網羅しコンピューターに逐一入力していた為、AIは例外への対応が全く出来ませんでした。
ですが、過去に人工知能研究が何度も行き詰ってきたのは当然のことです。
なぜならば、人間の脳の構造は未だに解明されていません。
解明されていないものを、プログラマー(人間)が全てを把握していることが前提である従来のプログラムの設計方法を用いて再現を試みても 作れるわけがありません。

現在のAIは、「なぜそうなるか」という理論が置いてけぼりなので、黒魔術やブラックボックスと言われることもあります。
事実、機械学習を続けていくと、AIは未知の領域に達します。
ボードゲームの例ですが、「AlphaGo」や保木邦仁氏の将棋ソフト「ボナンザ」は、今まで存在しなかった手(攻め方)を新しく産み出すようになりました。

AIの進歩を支えたもの

AI(人工知能)が革命的な進化を遂げられた背景には時代の流れがもたらした開発環境の変化も大きく貢献しています。

AIを支えた技術

これらの条件が揃っていたことで、AI(人工知能)はブレイクスルーを果たすことが出来ました。

AIの将来的な展望

IOTの普及によるデータ量の蓄積
IOTが普及すればするほど、AIを賢くするために不可欠な良質なデータが大量に収集できます。

コンピューターのさらなる処理向上
現在、AIの強化学習には数日を要しますが、FPGAと量子コンピューターが普及すれば大幅な時間短縮が期待できます。

「ロジックでデザインできる半導体FPGA」と「スパコンを遥かに超える処理性能を持つ量子コンピューター」
AIの将来

量子コンピューターはまだ研究途中ですが、FPGAは実用が始まっており、今後、低価格化やライセンス契約の柔軟化が期待されます。

何故、ディープラーニングは革新的なのか?

猫を猫として見分けることの難しさ

問題
「猫の特徴を説明してください。」
回答例
「耳が三角形に尖がっていて、サイズは30センチほどで、髭が生えている・・・」

にゃんこ

下記の3枚の写真の動物は、あなたの猫の説明に沿ったものでしょうか?
また、猫以外のものを猫と誤認させてしまうような説明は含まれていないでしょうか?

画像1 画像2 画像3
猫を識別 猫を識別 レッサーパンダを識別

猫の外見的な特徴を言語という表現媒体で網羅することは不可能です。

ルールを決めることとルールを見つけることの違い

ルールベースプログラム

これはプログラマーなら、必ず一度は見たことが有るエラーメッセージです。
元のワードを直訳すると「明確ではない。」という意味になります。
「定義ができないもの」「曖昧な定義」「論理的に不整合な概念」
これらを元にプログラムを作ることはできません。

ディープラーニングの優れた点は、定義が不明なものであっても、不明のまま、取り扱うことが可能な点です。

課題から理解を試みるディープラーニング

例えば、製造現場における熟練工の高齢化による人手不足が問題となっています。
熟練工を熟練工と同じクオリティで働くロボットに置き換えたい場合は、何が必要でしょうか?

熟練工が持っているノウハウの例

これをロボットで再現する為には、 全てを網羅した上でアウトプットを行い、作業を標準化する必要があります。
では、熟練工からどのようにしてノウハウを抽出すれば良いのでしょうか?

観察でしょうか?ヒアリングでしょうか?
勘やコツといった直感的な言葉で説明されるかもしれません。
工員の目線の高さが違えば全く違う工程が必要かもしれませんし、素材や湿度の変化も影響しているかもしれません。

機械学習は熟練工の無意識に溜まっている経験値が抽出できる方法を見つけることから始まります。

これに似た事例として、大手建設ゼネコンが大学と共同で開発を進めているシールドマシンの自動運転化技術があります。

シールドマシンの自動運転
シールドマシンは、トンネルや地下鉄の掘削作業に使う大型の機械です。
掘る地盤の地質や岩盤の固さ、土砂の量など、現場での測定値に基づく操作が要求される為、 今まで、熟練のオペレーターしか取り扱うことが出来ませんでした。

この試みは既に成果が出ています。
センサーやIoT機器を駆使して熟練の運転手の動きを記録し機械学習させることで自動化による再現に成功しています。

プラス
コンピューターの得意な作業は増殖(コピー)です。
学習した成果は瞬間的にロボット間で共有出来るので熟練工を必要な数量だけ量産できます。

どのようにしてビジネスにAIを取り入れれば良いのか?

AIのレベル分類

レベル1のAI
ただの制御プログラム
内部的にプログラムが単純な処理を繰り返しています。
ロボット掃除機などが当てはまります。
レベル2のAI
古いタイプのAI
判断や動作などのパターンを全て網羅することで作られます。
これもAIというよりは、ただのプログラムです。
レベル3のAI
学習できるAI
開発者が設計したパターンを元に学習することが可能なAIです。
人と会話できるスマートスピーカーはココです。
レベル4のAI
革新的なAI
パターンや判断の基軸もAI自らが選択します。
ディープラーニングをフル活用します。

ちなみに、上の熟練工の例のAIはレベル4です。

AIの活用事例

成功事例の多いAIの活用方法
レベル3のAIは汎用的に利用できるものも有る為、ビジネスに取り入れやすいです。

AIの「認識能力」を利用したもの

音声認識
例 : コールセンターでの無人応答
画像認識
例 : 工場のラインでの不良品の検品
動画認識
例 : 監視カメラによる録画データのチェック

AIの「データ分析の能力」を利用したもの

ビックデータの解析
例 : 大容量のデータから必要なデータのみ抽出する
マッチング
例 : 曖昧な条件での検索を可能にする。

分析結果を元にAIに予測させるもの

需給予測
例 : 異なる角度から分析した予測値の提示。
店舗の最適化
例 : 来店客の属性や行動を分析し、売上を上げる為のレイアウト・商品配置・POPを提案

AIの今後の予測

実用化に向けたAI技術プラットフォームの構築

日本ではドイツの「インダストリアル4.0( 第4次産業革命)」に習い、 産業の今後の在り方の指針として、「コネクテッドインダストリーズ」を打ち出しています。

コネクテッドインダストリー

20世紀初頭に普及し始めた電気が人間の暮らしを大きく変えたように、AIの登場は、今後、大きな変化をもたらすものとして捉えられています。

2018年の動向
2018年現在、AI先進国は中国です。
一党独裁政権の環境はテクノロジーの革新において有利に働いています。
トップの意向が末端まで即座に反映され、官民が一体となり、AIの活用に取り組んでいます。
中国は、日本と異なり、人手不足にはなっていませんが、工場や小売店の無人化や自動宅配が着々と進んでいます。

今まで、AIを含めたテクノロジー牽引してきたのは、Googleやamazonなどの北米の企業でしたが、 内向き志向の政策の元で、AI開発者の就労ピザの更新ひとつ取っても円滑に進まず、国から牽制を受けているような状況です。

2018年は、世界的にAIの実用化が進む年と言われています。
しかし、日本では、法整備や規制緩和が追い付いておらず、活用の機会を妨げられています。 他国と比較し周回遅れどころか、もはや、取り残された感すらあります。

今後、5年以内に起きること
期待値だけが無暗に高いAIブームは近いうちに終わります。

従来のシステム役割は各産業の事業活動をサポートするものでしかありませんでした。
AIは方法論(道具)にしか過ぎませんが、 価値を理解しAIという道具を上手く使いこなせれば、企業の競争原理を根本から変える可能性を持っています。

今後、AIの活用によって

Google CLOUD VISION API による3枚の動物の写真の画像識別結果
画像1 猫 99%
画像2 猫 98% / 黒猫 98%
画像3 レッサーパンダ 94%

AI解説のまとめ

追記:2018/11/29
この雑記は2018年の春ごろに書かれたものです。
この年は動きが活発であった為、いくつかの情報(法改正や量子コンピューターの2019年の実用化)が更新されています。


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